体感治安
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体感治安(たいかんちあん)とは、定量的に統計上の客観的な数字(犯罪認知件数や検挙率など)で表される治安である「指数治安」と異なり、人々が感覚的・主観的に感じている治安のことを言う。
目次 |
[編集] 概説
2008年現在の日本における10万人あたりの殺人事件の被害率は0.5人程度で、先進国の中では比較的少ないとされる[要出典]。また近年は犯罪件数はむしろ減少傾向にあるとされる。にもかかわらず、いくつかの調査は、犯罪が急増しているとの印象を持つ国民が少なくないことを示唆している(後述)。このように、人々が治安状況に対して感じる印象は統計が示唆するものと必ずしも合致するとは限らない。
体感治安は、1990年代に使われだした造語である。当時の警察庁長官國松孝次らが口癖のように語っており、オウム真理教が起こした松本サリン事件・地下鉄サリン事件や、神戸連続児童殺傷事件などの重大事件発生で「安全神話の崩壊」などと報道された時期にも用いられてきた。
犯罪対策閣僚会議が2003年(平成15年)9月26日に策定した「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」(以下、政府の行動計画)において、現下の状況を序文に「体感治安」という言葉で表現している。
[編集] 現状認識に関する議論
世論がどのように治安状況を認識していたかについては、次のような調査報告があった。
- 内閣府の「治安に関する世論調査」(2004年7月実施)では、ここ10年で自分や身近な人が犯罪に遭うかもしれないと不安になることは多くなったと思うか聞いたところ、「多くなったと思う」とする者の割合が80.2%(「多くなったと思う」33.0%+「どちらかといえば多くなったと思う」47.3%)、と報告している。
- 内閣府の「社会意識に関する世論調査」(2006年2月実施)では、現在の日本の状況について悪い方向に向かっていると思うのはどのような分野か聞いたところ、「治安」を挙げた者の割合が38.3%と最も高かった、と報告している。
- 体感治安なる用語に直接的に言及した調査・研究の発表例としては、 野村総合研究所が2005年5月13日付で発表した「性犯罪者の前歴情報を一般にも公表すべきという声が45.9% ~治安に関する生活者の意識調査の結果、9割の体感治安は悪化~」などがある。インターネットアンケート調査によって行われたこの調査報告では、回答者の9割近い人の体感治安が悪化しているとしている。
『産経ニュース』は、体感治安の悪化とその改善の必要性を主張した[1]。一方で、
- 犯罪科学者の浜井浩一は、体感治安が悪化しているとの主張は統計学や疫学上の根拠が乏しく「信仰」にすぎない、と批判している[2]。
- 社会学者の佐藤卓己は、体感治安の悪化は、マスコミの犯罪報道の影響により自分自身が犯罪被害者となる可能性を大きく見積もってしまうことによると指摘している[3]。
指数治安に関しても、1996年(平成8年)に刑法犯の認知件数が戦後最悪になったこと、以降認知件数が毎年ワースト記録を更新していること、窃盗及び器物損壊の検挙率の低さが際立つこと、暗数が少ない強盗の検挙率も低下していることなどを指摘し、悪化の一途をたどっているとする論調がある。[要出典]
[編集] 政府の行動計画
2003年(平成15年)、小泉改造内閣では、「国民の『安全』と『安心』の確保」が基本方針の一つとして盛り込まれた[4]。その上で、「世界一安全な国、日本の復活を目指し、関係推進本部及び関係行政機関の緊密な連携を確保するとともに、有効適切な対策を総合的かつ積極的に推進する」ことを目的として、「犯罪対策閣僚会議」の開催が決定された[5]。
2003年、小泉首相は国会の所信表明演説で、「国民の安全と安心の確保は政府の基本的な責務だ、『世界一安全な国、日本』の復活を実現します」と表明している[6]。
[編集] 脚注
- ^ たとえば、『産経ニュース』2008年8月25日付の記事「【主張】刑事警察 「人」の地道な努力継承を」など
- ^ 「刑務所の風景から社会を見据える 浜井浩一さん (元刑務所職員・犯罪学者)」『東京新聞』2008年2月17日
- ^ 佐藤卓己『メディア社会』(岩波新書、2006年)。
- ^ 2003年(平成15年)9月22日、第2次改造内閣初閣議における小泉総理の指示。基本方針『第2次改造内閣初閣議における小泉総理の指示』平成15年(2003年)9月22日、第157回国会における小泉内閣総理大臣所信表明演説 平成15年(2003年)9月26日
- ^ 犯罪対策閣僚会議の開催について 平成15年(2003年)9月2日
- ^ 『小泉内閣メールマガジン』第112号、2003年10月2日。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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