トランプ - Wikipedia

トランプ

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トランプは、室内用の玩具。多種多様なゲームに用いられるほか、占いの道具としても手品(マジック)の小道具としてもよく用いられる。

欧米では「遊戯用の札」、例えば英語では playing cardsプレイングカード)などと呼ばれ「トランプ」(trump)は、本来「切り札」を意味する言葉である。しかし、明治時代にプレイングカードが日本に輸入されたとき、「トランプ」が呼称として定着した。コントラクトブリッジをはじめとするトリックテイキングゲームには切り札(トランプ)のあるものが多く、これらの愛好家は日本語でも「トランプ」を切り札の意で使うため、遊具自体については「プレイングカード」(またはカード)と呼ぶことを好む。

トランプ52枚のセット。これにジョーカーが加わる。

目次

[編集] 概要

[編集] 世界標準タイプ

トランプ一組の構成は国によって異なるが、日本ではアメリカの影響により、いわゆる世界標準タイプが用いられる。これは世界で最も普及している一般的な構成である(ただし、特に「標準」と呼ぶだけの歴史的な意味などがあるわけではない)。

これは53~54枚の札からなり、そのうち1~2枚はジョーカーと呼ばれる札である。元々はドイツもしくはオランダ生まれのユーカーeuchre)というゲームに使用するためのものであるが、ジョーカーが2枚含まれる場合は1枚はエキストラ・ジョーカー(準札)としてもう1枚よりも色を抑えて印刷されることが多い。また、英字の説明書が1枚つく場合もある。これをジョーカーと同じ扱いとする場合もある。

ただしジョーカーがトランプ一組に加わったのは19世紀の後半の事(当初はベストバウアー(best bower)と呼ばれていた)であるので、ジョーカーを除いた52枚を世界標準タイプと呼ぶ事もある。

ジョーカー以外の52枚の札は、スペード(イタリア語で「剣」を意味する spada の複数形より)、ハートクラブ(club:棍棒のことで、クローバーとも呼ばれるが、間違い)、ダイヤの4種のスート(絵柄マーク)に分かれており、各スートには13の「ランク」(番号)の札がある。

スートはヨーロッパにカードが現れた当初、カップ貨幣棍棒(イタリア、スペイン)またはであったが、これを簡略化して現在の形にしたのがフランスであった。これは印刷が容易かつ視認性に優れるところから広く普及した。後述の地方札が標準的なイタリアでは、世界標準タイプをフランスのカードと呼ぶのはこのためである。

各スートはそれぞれ、騎士(剣)、僧職(聖杯)、農民(棍棒)、商人(貨幣)を表すとも言われる。ただしこれは特別な根拠はなく、俗説のひとつと見た方がよい。プレイングカードをベースに、『トランプ』と呼ばれる絵札を加えてタロットへと発展する際、小アルカナに付加された、いわゆるこじ付けの一つと思われる。

13のランクは、A(エース)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、J(ジャック)、Q(クイーン)、K(キング)となっている。2をデュースと呼ぶ事もある。

エースおよびデュースは元々それぞれダイスの1および2を表す言葉である。以前は3〜6はそれに倣って順にトレイ、ケイト、シンク、サイスと呼んでいた事もある。

以上の1揃えで、デッキ(deck デックとも)と呼ぶ。

[編集] 地方札

世界標準タイプ以外の札を地方札(Regional Card)と呼ぶ。これらはスートも一セットの数も様々である。しかし、この方が一般的であり標準タイプの方がマイナーといった国、地方も少なくない。

地方札の例(32枚のセット)

スートについて言えば、イタリアスペイン及びラテンアメリカ諸国には、カップ貨幣(もしくは棍棒)の札があり、ドイツスイス等にもまた独自の紋表を持つ札がある(ドイツでは心臓・木の葉・団栗スイスでは・野バラ・団栗)。

地方札の例(40枚のセット。イタリア・ベルガモ

1デッキの枚数は20から108枚。ヨーロッパでは32枚や36枚というものが多く、ほとんどの日本人がトランプと言えば52枚を思い浮かべると同様にイタリアでは40枚、ロシアでは36枚が常識であるという。特殊な例では、フィリピンで112枚というものが存在する。

ピアチェンツァ型を例としたラテン式スート
スート
和訳
イタリア語
スペイン語
ドイツ語

Spade
Espadas
Schwerter
カップ
Coppe
Copas
Kelche
貨幣
Denari
Oros
Münzen
棍棒
Bastoni
Bastos
Stäbe

[編集] サイズ

標準的なトランプのカードの大きさには、ブリッジサイズポーカーサイズの二種類がある。

ブリッジサイズ
約89mm×約58mm。横幅が短いので、コントラクトブリッジのような、手に持つ枚数が多いゲームに適している。日本では一般的なサイズである。
ポーカーサイズ
約88mm×約63mm。横幅が広いので、ポーカーのような、手に持つ枚数が少ないゲームに適している。

ただし、この使い分けは慣習的なものであり、ブリッジサイズのトランプでポーカーをプレイしても、なんの問題もない。

トランプ以外のカードゲームトレーディングカードでも、これらのサイズを踏襲しているものが多い。

[編集] 主なトランプ製造メーカー

[編集] かつてのトランプ製造メーカー

  • 日本
    • エーストランプ(東洋トランプ)
    • 平凡トランプ
    • ユニバーサルトランプ

[編集] 歴史

[編集] 起源

起源は諸説あり、はっきりとはわかっていないが、現在中国説が最も有力であり、また、全て東方に発生したものが欧州に移入されたとする点では一致している。これら東方に発生したものを西アジア方面から復員した十字軍サラセン人などの手によって欧州に伝えられた可能性が高い。

古代エジプト起源説
1816年イギリスのサミュエル・ウェラー・シンガーが自著「プレイングカードの歴史」にて紹介した古代エジプトの神秘哲学がタロットというトランプに表象されていることから非常に古くからエジプトにトランプがあったとする説。しかし近年の研究で、現存する最古のタロットカードよりも古いトランプの現物や記録が存在することなどから、タロットの方がプレイングカードから派生したと考えられ、この説に関しては現在は否定的な意見が多く、最近ではタロット古代エジプトの関係も否定されている。
インド起源説
チェスとともに6世紀ごろのインドで発祥したとする説。ジプシー7世紀ごろにインドから欧州に伝来したとされるが、信憑性は薄いとされている。
中国起源説
12世紀以前の中国に「葉子」というトランプの一種があったことから、これが13世紀欧州に伝わったとする説。

[編集] 欧州への伝来

起源が定まっていないことから欧州への伝来についても諸説あるが少なくとも14世紀には欧州各地に記録が見られることから相当数広まっていたと考えられる。欧州に最初にトランプが出現したのは14世紀前半のイタリアとされているが、スペイン説も有力。当時のアラブのカードは、スートは貨幣刀剣カップ、ポロ競技用バットであったが、このうちバットはポロ競技になじみの薄い欧州において、イタリアでは儀式用の、スペインでは棍棒に変化する。またフランスでの流行の火付け役となったジャック・クールの功績を称え、カップの図柄はクール(ハート)と名を変え、図柄もハートに変化し、現在に至っている。

14世紀も後半になると、フランスではスートがダイヤスペードハートクラブに変わり、絵札の騎士女王と差し替えられた。現在広く普及しているイギリスのスタイルは、このフランスの形式を発展させたもの。なお52枚組が世界標準タイプと呼ばれるのは、19世紀にホイスト、20世紀にブリッジという52枚を使用するゲームの流行、カードにインデックスを付け、角を丸くし、上下を対称にした双頭カードの考案等々の改良を加えたのがイギリス及びアメリカのメーカーであったこと、加えてこの当時の国々の国際的な力関係による。

[編集] 日本への伝来

日本に伝来したのは16世紀頃と言われる。1597年長宗我部元親が「博多かるた諸勝負」を禁止していることから、この頃には既にトランプが相当流行したものと考えられる。 また1634年の角倉船の絵馬にはトランプをしている男女の絵がある。

日本における最古のトランプは48枚の札からなる天正かるたと呼ばれるもので、ポルトガル語カルタ(carta)がそのまま日本語となり、漢字では賀留多、歌留多、紙牌などと書かれた。西洋のカルタにならい、うんすんカルタ株札がら札花札などが生まれた。天正かるたはその最初の札に「天正金入極上仕上」と記してあったことから、別名を「きんご」と言い『壇之浦兜軍記』などの書物にその記載を見ることができる。うんすんカルタ(宇牟須牟加留多)もそのままポルトガル語の「umsum carta」の読みがあてがわれ、その記述は『雍州府志』、『半日閑話』などに見ることができる。枚数は48枚(後に75枚)ではじめの5枚を「ウン」、次を「スン」と呼び、慣用句「うんともすんとも言わない」はこれに由来するとも言われる。札の絵には布袋達磨、異国人などが書かれていた。これら西洋カルタ系統のものは早くから賭け事に使われ、江戸幕府でもかるたの賭け事の禁制をしばしば触れた。

江戸後期からは四季12ヶ月の花を描いた花札が流行するなど、多種多様のかるたが民族娯楽として作り出される。様々なかるたが流行していくとともに正統であるいわゆるトランプは日本では影を潜める形となっていった。

また、日本古来より存在した歌貝(貝あわせ)などを発展させ、札を西洋かるたの様式にして作られた百人一首などのカルタは「よみかるた」と称され、西洋カルタ(めくりかるた)とは系統が異なるものである。

トランプが再び盛んに行われるようになるのは明治時代になってからである。トランプの名は1886年に出た桜城酔士の「西洋遊戯かるた使用」に見られ、トランプのゲームと奇術(マジック)が紹介されている。最初はアメリカ、イギリスからの輸入であったが、やがて国産品もつくられるようになり、1953年任天堂がプラスチック素材を取り入れたトランプを開発・販売。それが世界に広がり、今現在ではプラスチック素材が取り入れられたトランプが大きく普及している。現在普通に見られるのは、一部有名メーカーの品、欧州、アメリカからの輸入品を除いて、ほとんどが中国もしくは台湾製である。

[編集] デザイン

フランスではトランプの絵札に実在もしくは伝説の人物を当てはめることがしばしばあった。現在の絵札のデザインの元となっているのは、16世紀にフランスのパリで作られたものであるが、その当時は以下の通りの人物に当てはめられていた。

これに対して、ルーアンではスペード、ハート、ダイヤ、クラブの順に、キングをダビデ、アレキサンダー、カエサル、カールと、クイーンをパラス、ユディト、ラケル、アルジーヌと、ジャックをヘクトル、ラ・イル、オジェ、ランスロットとされているが、歴史的にはパリのほうが巷間に広まって現在に至っている。またダイヤ(もしくはスペード)のジャックのヘクトルは実はローラン(カール大帝の騎士)ではないかという説もある。奇しくも彼が持つ名剣デュランダルは実はヘクトルが愛用していたとされている。またクラブのジャックはユダヤの英雄ユダ・マカベアという説もある。因みに、現在アメリカや日本で広まっているデザインは、このフランスのカードを発展させたイギリスのカードに由来し、特定のモデルはいない。

尚、後述の通り、一般に「占いに使われるタロットカードの小アルカナに愚者(フール)の札を加えてトランプが発生した」という説があるが、これは間違いで、タロットはもともとは遊戯用のカードで、占いに転用されるようになったのはかなり後世になってからである。また、タロットとトランプとの関連性は現在、疑われている。

[編集] トランプの税金

1628年、イギリス政府はスペードのエースに税金をかけ、それに捺す納税証明印のデザインを複雑にすることで偽造を防止した。現在、スペードのエースが他と比べて大きくデザインされ、中央にマークが入れられたりしているのは、その名残である。

日本では、1902年に施行された骨牌税(こっぱいぜい)法により税が課されるようになり、1957年には同法が改正されトランプ類税法となった。この法律の規定により、パッケージに証紙を貼る事が義務化されていた(なお、いわゆる「児童用トランプ」は非課税)。 1989年消費税導入時に統合廃止された。

[編集] 代表的なトランプゲーム

[編集] その他のトランプゲーム


[編集] トランプに関わる作品

[編集] トランプに関する俗説

トランプに限らず、ゲームに関する歴史は一般的に記録されにくい。また、トランプは手品や占いの小道具として用いられることが多く、それらは神秘性を求めるため多くの俗説が生まれた。

以下は、歴史的に関連していないため間違いとされている。

  • トランプはタロットから生まれた。ジョーカーはタロットのフール。
  • 1人遊び(ソリティア)は占いがゲームとして発展したものである。
  • カードの4つのスートは四季を示し、カードが52枚あるのは1年が52週であることから来ている。

また、エースを1、ジャックを11、クイーンを12、キングを13として52枚の数を合計すると364になり、これにジョーカーを1として足すと365(一年の日数)になる。この計算は正しいものの、意図的なものでなく偶然であるとされる。尚この場合エキストラジョーカーは閏年(一年が366日)のためと解釈できる。

[編集] 関連項目

[編集] 外部へのリンク

ウィキブックス
ウィキブックストランプ関連の教科書や解説書があります。

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