アメリカ合衆国大統領 - Wikipedia

アメリカ合衆国大統領

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第43代アメリカ合衆国大統領
ジョージ・W・ブッシュ

アメリカ合衆国大統領(アメリカがっしゅうこくだいとうりょう、President of the United States, POTUS)は、アメリカ合衆国国家元首であり行政府の長である。2008年現在、ジョージ・W・ブッシュが在任中。

目次

[編集] 概説

初代アメリカ合衆国大統領
ジョージ・ワシントン

アメリカ合衆国大統領は、アメリカ合衆国憲法第2条第1節の規定により、4年に1度、国民投票によって新しく選出、再任される。修正第22条の規定により、2度を超えて選出されることは認められていない(三選禁止)。大統領選挙は形式的には間接選挙であり、選挙人団によって大統領および副大統領はペアで選出される選挙制度となっている。ただし、一般有権者は正副大統領候補者に投票するため、事実上直接選挙の性格も併せ持つ。

大統領選挙の被選挙権は35歳以上でかつ国内への在留期間が14年以上で、出生によるアメリカ合衆国市民権保持者(合衆国市民の両親が海外で出産した子は対象となる)、または「制憲当時に合衆国市民であった者」。伝統的に白人プロテスタント男性が大統領に選出されてきたが、1960年にはカトリックであるケネディが当選した。その後は、有色人種女性二大政党共和党民主党)の大統領候補予備選挙に出馬することはあっても候補者指名を得るには到らなかった。しかし、2008年の大統領選挙では黒人初の大統領候補として民主党の指名を受けただけでなく、米国史上初の黒人大統領としてバラック・オバマが当選している。歴代大統領にはイギリス系以外にもアイルランド系、オランダ系、ドイツ系などの非英語圏出身でも当選しておりそしてこのようにアフリカ系が初めて大統領になっている事から差別意識が薄れている事が伺える。

大統領の呼びかけの呼称(日本で言う「総理」)は「ミスター・プレジデント」(Mr. President)[1]、略呼称は「サー」(Sir) で、大統領が女性の場合はこれが「マダム・プレジデント」(Madam President)、「マァム」(Ma’am) となる。アメリカでは退任した大統領も儀礼上は生涯大統領として接遇されるため、存命する元大統領も「ミスター・プレジデント」と呼ばれる[2]

[編集] 権限

エイブラハム・リンカーン

16代大統領。奴隷解放宣言で執行権などを最大限に活用した大統領。
フランクリン・ルーズベルト

31代大統領。1933年、市民の金所持を禁止し紙幣との引換を命令。開戦後には日系人に対する強制収容を執行。

[編集] 執行権

  • 独立命令である大統領令 (Executive order) の発令。大統領令は議会の立法権に干渉してはならないとされるが、行政権の下にある連邦政府や軍に対する直接命令の他、奴隷解放宣言や日系人の強制収容のような、アメリカ国民の重大な人権に直接関わるものも存在する。
  • 判事、大使、各省長官をはじめとする全ての連邦公務員(ただし合衆国憲法または連邦法が特に定めたものを除く)の指名権。ただし上院の承認[3]が必要。
  • 上院休会中に生じた欠員に対して次回の上院の会期満了日を任期として休会任命をする権利。
  • 各省長官の罷免権。
  • 条約の締結権。ただし上院の3分の2以上の賛成による承認[3]が必要。
  • 各省長官から意見を求める権利
  • 連邦議会に法律制定その他の適切と考える施策を勧告する権利。
  • 恩赦の執行延期。
  • 外交使節の接受権。

[編集] 立法権

  • 連邦議会への勧告権(「教書」message と言う。最も知られているのが年頭の一般教書演説 (State of the Union Address)。他に予算教書、特別教書(戦争教書)など。近年、一般教書は両院合同会議で演説されるようになった。大統領には法案提出の権限がなく、代わりに教書によって議会に法律の制定を要請することになる。また大統領には議会への出席権が無いので、本来は教書は文書として送達される。教書演説の際には、そのつど議会によって特に招待されなければならない。
  • 連邦議会両院を通過した法案への拒否権。議会に差し戻された法案を大統領の署名なしで法律とするためには両院ともに3分の2以上の多数で再可決しなければならない。
  • 立法がすべて議員発議という制度が厳格に守られていることもあり、かつては非常時でもない限り大統領が政策の主導権を握るようなことはないのが通常だった。しかし第二次世界大戦後の大統領は積極的に政策、特に内政に関与し、所属する政党の議員を動かしてまで自らが望む法律を制定しようとすることも見られる。また論争となりそうな法案については、国民に対して自らの考えを明らかにし、世論を動かすかたちで議会をリードしようとする動きも見られる。

[編集] 指揮権

  • 大統領はアメリカ合衆国軍の最高司令官 (Commander-in-Chief) としての指揮権をもつ。宣戦布告議会の権限であり、軍隊を募集し編制することも議会の権限である。しかし今日では、議会による宣戦布告を悠長に待っていては先制攻撃が不可能になってしまったり、逆に敵対国から先制攻撃を受けてしまったりする可能性があるため、大統領はこの指揮権を根拠に宣戦布告なしで戦争を開始できることが慣例的(直接大統領命令で派遣でき、議会承認権限の対象とならないアメリカ海兵隊を派遣させるのが通例)に定着している。これに対して議会は、ベトナム戦争におけるなし崩し的な拡大に対する反省から、戦争権限法を定めて大統領の指揮権に一定の制約を設けている。

[編集] 日常

オーバルオフィス(1975年)

左から、ディック・チェイニー首席補佐官、ドナルド・ラムズフェルド国防長官、ジェラルド・フォード大統領。
  • 勤務時間は、「自分で必要と考えるだけ働けば良い」とされている。

大統領の朝最初の仕事は「日例報告」を聞くことから始まる。この報告では首席補佐官国務長官国家情報長官らによって、世界中から収集した情報の報告が行われる。

  • 日常的な執務は「オーバルオフィス」と呼ばれる(室内が楕円である事にちなむ)大統領執務室で行われる。この部屋はホワイトハウスウエストウイングにある。
  • 大統領には万が一に備えて核兵器使用に必要な装置を携帯した将校がいかなる場所へも随行する。
  • 定例の記者会見は定められていないが、通常は1ヵ月に1度以上は行われている。また必要に応じて大統領がテレビで直接国民に語りかけることもある。
  • 毎週土曜日の朝には定例ラジオ演説を行う。5分程度のメッセージが読まれ、近況や現在取組中の課題などについてが説明される。
  • 2007年現在、大統領の給与は年額40万ドル(約4400万円)[4]、これに必要経費5万ドル(約550万円)、旅行経費10万ドル(約1100万円)、交際費1万9000ドル(約210万円)が必要に応じて支給される。

[編集] 大統領権限継承順位

閣議(2004年)

1947年大統領継承法は、第(a)条(1)項で「もし死亡、辞任、解任、執務不能などの理由により、大統領と副大統領の双方が大統領の責務を果たし権限を執行できない場合には、下院議長が、下院議長と下院議員を辞職したのちに、大統領としてこれを行う」としたうえで、その次を上院仮議長、その次からは内閣の閣僚を所轄省庁の設立年の古い順に並べ、継承順位を第18位まで定めている。

なお、昇格時に前大統領の任期が2年以内であれば、その後大統領選挙を二回挑戦することが出来る。つまり、最高でアメリカ合衆国大統領は10年出来ることになる。(修正憲法第22条)

ただし外国で生まれて合衆国に帰化した者など、憲法で定める大統領の資格を満たさない者がこの順位内にいる場合は、その者をとばして下位の者の順位が繰り上がる(現内閣ではカルロス・グティエレス商務長官がキューバ生まれ、イレーン・チャオ労働長官が台湾生まれのため、マイケル・リーヴィット保健社会福祉長官が第10位となって以下2位ずつ繰り上がっている)。

一般教書演説(2003年)

毎年1月下旬に議会で行われる大統領の一般教書演説は、アメリカの三権を構成する者のほぼすべてが下院本会議場に集う一大イベントである。しかし冷戦たけなわの1970年代末、大統領府はこの一般教書演説時を狙った東側による首都核攻撃を想定、大統領権限継承者全員と上下両院の議員全員が一堂に会することの危険性を憂慮した。ここをたたかれると、憲法が定める法的な大統領権限の継承者が皆無となるばかりか、そうした憲法的危機を乗り越えるために必要な立法措置をとる議会や、対策手段を公的に承認する最高裁までが、一瞬にして消滅してしまう可能性があるからである。

その結果1981年の一般教書演説からは、閣僚の大統領権限継承者の1人を内密に「指定生存者」に指名し、その者を首都ワシントンから相当の距離をおいた非公開の場所に当日は待機させる(つまり隠す)ことにした(2007年はアルベルト・ゴンザレス司法長官)。

さらに、あくまでも想像上の事態であった首都攻撃が 9/11テロで現実のものになると、2005年の一般教書演説からは議会も各院で民主党と共和党からそれぞれ1人ずつ、計4人の議員を「指定生存者」として一般教書演説の日は首都を離れさせ、最悪の事態が起きた場合でも両院で議長と議員がいる連邦議会が生き残れるようにした。ただし過去3年において、上院では大統領権限継承順位が3位の上院仮議長が上院の指定生存者の1人となっており、これがこのまま慣例として定着すると、あえて閣僚の指定生存者を指名する必要性が失われてしまう点が指摘されている。

[編集] 歴代の大統領

五人の「ミスター・プレジデント」

歴代アメリカ合衆国大統領の一覧」を参照。

[編集] 注釈

  1. ^ 合衆国発足当時は「陛下」(Your Majesty) や「閣下」(Your Excellency) などが模索されたが、初代大統領のワシントンはこうした尊称で呼びかけられることを嫌ったため、より親しみやすい「ミスター・プレジデント」が定着した。
  2. ^ この慣例はウォーターゲート事件の揉み消しスキャンダルで辞任したリチャード・ニクソンにも例外なく適用された。
  3. ^ a b 憲法上は上院の「助言と同意」 (Advice and consent)が必要であるが、「助言」は提案の後でもよいと解釈されるため、実質的には同意すなわち承認のみが必要となる。
  4. ^ 比較例として、同年度の内閣総理大臣の給与は年額約2485万となっている。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク

[編集] 参考資料


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